2023年8月25日の早朝、当院の玄関前に瀕死の状態の子猫が、段ボールに入れられて捨てられていました。
本来ならば、動物の虐待(遺棄も含まれます)案件として警察へ通報するなど、しかるべき対応をとるべきでしたが、目の前で消え掛かっている小さな命の灯を守ることを優先し、私たち自身で保護することに決めました。
懸命の処置の甲斐あって、無事食欲が戻るまでに健康状態は回復しました。
みんなを明るく照らすお日様のようであって欲しいと、私たちは子猫に「SUNちゃん」と名付けました。


しかしSUNちゃんは、健康診断の過程で、残念ながら猫白血病ウイルスに感染してしまっていることがわかりました。
ウイルスが体から消えてなくならなければ、長くは生きられません。
加えて、このままの環境で飼い続けると、入院中の他の猫たちにも感染が広がってしまうリスクも甚大でした。
そこで院内の完全隔離室に移し、厳戒態勢の中、必死の治療と飼育を続けました。
2024年4月10日早朝、SUNちゃんは闘病の末に、治療の甲斐なくその猫生に幕を下ろしました。
推定わずか8ヶ月という大変短い猫生でした。
必死に寄り添い続けた私たちにとっても大変辛い別れとなりました。
可能な限り小さな命を救ってあげたい…というのが獣医師としての本心ですが、健康回復の見込みのある入院・通院中の動物たちを命の危険にさらしてまで、不法に遺棄された動物たちを保護することは正直、難しいです。

二度とこのような辛い思いをしたくない…という気持ちから、不本意ながら本院の敷地内には24時間体勢で監視カメラを設置させていただいております。
動物の遺棄・虐待は、【一年以下の懲役、または百万円以下の罰金】が科せられます。
私たち獣医師には「動物の愛護及び管理に関する法律」第四十一条の二により、「都道府県知事その他の関係機関に通報しなければならない。」という義務がありますので、今後このような行為を発見した場合には然るべき対応を取らざるを得ません。
しかし、なにより大切なことは、動物を飼うことの責任の重さを一人でも多くの人に知っていただくことです。
「命を預かり責任をもって最期まで飼育することができるかどうか」。
これから動物を飼おうと考えている人はもちろんのこと、すでに動物を飼っている人も、できる限り周囲の人にこの考えを広めていただけると幸いです。








